[更新]行ってきました! – 写真家・石川直樹の大規模個展「この星の光の地図を写す」開催
2019年1月12日~3月24日に「東京オペラシティ アートギャラリー」(東京都新宿区)にて、写真家・石川直樹さんの東京での初の大規模個展となる「石川直樹 この星の光の地図を写す」が開催されます。
石川さんの初期から現在までの活動の全貌が紹介されるということで、待ってました! の大規模個展です。
私が、石川さんの作品と初めて出会ったのは、とある機関紙でした。それは確か、世界の旅やライフスタイルをテーマにした機関誌で、石川さんの高原の写真はすがすがしく広く、添えられたコラムはその場所への愛情にあふれていて、ずいぶんと長いこと眺めていたように思います。コラムに民俗学のエッセンスを感じたことにも、興味をそそられていました。
石川さんは、22歳で北極点から南極点までを人力で踏破、23歳で七大陸最高峰の登頂に成功した石川は、その後も世界各地を旅しながら、人類学や民俗学などの観点を取り入れた独自のスタイルによる写真作品によって、私たちの日常や世界を見つめ直す活動を展開し続けています。
世界をフィールドに活躍する写真家の個展 「石川直樹 この星の光の地図を写す」 来年1月12日から東京・西新宿で|産経新聞社のプレスリリース
石川さんは、現在も世界の山々に挑みながら、世界と日本のすがたを独自の視点で写真におさめています。いま失われつつある、“古き良き”日本と、いまここに息づいている“ありのまま”の日本が、石川さんの写真には写りこんでいるように感じます。
2018年10月には、石川さんの写真で、日本の風景を見つめなおそうというプロジェクト「日本列島」を始動。2020年までに日本全国47都道府県別に、計47冊の写真集発行を目指すもので、第一弾として、2018年10月10日に北海道、秋田、新潟、東京、大分の5タイトルが発売されています。
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石川直樹の写真集『日本列島』発売、ユーラシア大陸の果てに位置する島々の風景 | japonism
本展では、北極、南極、ヒマラヤ8000m峰といった極地を撮影した各シリーズ、ニュージーランドの原生林を撮影した『THE VOID』、ポリネシア地域に浮かぶ島々を巡った『CORONA』、世界各地の洞窟壁画を訪ねた『NEW DIMENSION』など、石川さんの活動の全貌が総合的に紹介されるとのこと。開催が楽しみです。
写真家・石川直樹プロフィール
昭和52年東京生まれ。写真家。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)により、日本写真協会新人賞、講談社出版文化賞を受賞。『CORONA』(青土社)により土門拳賞を受賞。著書に、開高健ノンフィクション賞を受賞した『最後の冒険家』(集英社)ほか多数。最新刊に、エッセイ『極北へ』(毎日新聞出版)、ヒマラヤの8000m 峰に焦点をあてた写真集シリーズの6冊目となる『AmaDablam』(SLANT)、47都道府県の名を冠した47冊の写真集刊行プロジェクト『日本列島』シリーズ(SUPER LABO×BEAMS)など。
<個展概要>
会 期:2019年1月12日(土)~3月24日(日)※月曜日(祝日の場合は翌火曜日)と2月10日は休館
開館時間:11時~19時(金・土曜日は20時まで)
会 場:東京オペラシティ アートギャラリー(東京都新宿区西新宿3-20-2)
入場料:一般1200円、大・高生800円、中学生以下無料 ※15人以上の団体は各200円引き
お問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
[更新]行ってきました! ネタバレ(2019.1.18追記)
写真家・石川直樹さんの東京での初の大規模個展「石川直樹 この星の光の地図を写す」、行ってきました。とっても楽しくて、ずいぶん長居してしまいました。撮影可能だった展示から、ほんの一部をご紹介!
展示は、シリーズに沿っていくつかの個室に分かれていて、それぞれ演出も素晴らしく、次はどんな部屋かな…とワクワクしながら巡りました。 写真作品とあわせて展示されている石川さんの文章が、写真の味わいを深めてくれます。
特に心に残ったのは、石川さんのこれまでの足跡をマッピングした「AuthaGraph(オーサグラフ)世界地図」(水戸芸術館現代美術センター作) 。「オーサグラフ」とは、建築家・構造家で、現慶應義塾大学大学院・政策・メディア研究科准教授の鳴川肇さんが発明した地図投影法で、“陸地の面積比と形状をほぼ正確に表記し、かつ海を分割することなく矩形の平面に収めた世界地図”(「AuthaGraph オーサグラフ 世界地図」より) が作れる画期的なもの。その名称は「authalic」(面積が等しい)と「graph」(図)に由来するという。
マッピングされた石川さんの移動距離や行動範囲のすさまじさはもちろんなのですが、この地図によると、南極大陸ってこんなに大きいのか! とか、南太平洋ってこんなに広いんだなあ! と、従来の慣れ親しんだ地図にはない気づきがありました。
オーサグラフ 世界地図の特色は、“特定の中心点をもたず世界全体を自由に見渡す観点が得られること(日本科学未来館 (Miraikan)より)”。
日本のことを、西欧から見たら日本は「極東」かもしれないけど、日本にいればここがファーイーストと呼ばれてもピンとこない。アメリカ大陸だって、西欧人からみたら「発見」かもしれないけど、アメリカ大陸からしてみればとっくの昔からここにありましたけど? みたいな。
どこを“中心”として考えるかによって、見えてくるものってまったく異なるんだよね、ということで、この地図のコンセプトと、石川さんの作品から受け取ったメッセージが、見事にリンクしてなんだかハラ落ちして、個人的にすごく共感するということもあり、気持ちがよかったです。
展示の最後には、『石川直樹の部屋』として、石川さんの本棚の再現も! 石川さんの文章は、こういった積み重ねがあって生み出されてきたものなのだなあと、とても納得しました。
ぜひ時間をたっぷりとって、じっくりみて、感じてほしい。2019年3月24日まで、「東京オペラシティ アートギャラリー」(東京都新宿区)で開催です。
<参照>
世界をフィールドに活躍する写真家の個展 「石川直樹 この星の光の地図を写す」 来年1月12日から東京・西新宿で|産経新聞社のプレスリリース
AuthaGraph オーサグラフ 世界地図
10+1 website|〈地図〉──建築から世界地図へ|テンプラスワン・ウェブサイト
新しい地図で新しい世界を描こう Geo-Paletteサイトオープン! | 日本科学未来館 (Miraikan)
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