はじめての寄席。神田松之丞を目当てに「新宿末広亭」へ行ってみた!
「寄席」に、初めて行ってきました。落語や講談に興味はありつつ、寄席に行ってみたいと思いつつ、システムがむずかしそう、初心者がふらりと行って楽しめるものなんだろうか、なんて。なかなか足が向かなかったのです。
でもでも、意を決して行ってみたら、とても楽しかった。また行きたい! まだの方は、ぜひ行ってみてほしい。寄席体験前に、疑問に思っていたこと、調べたことをまとめます。はじめての寄席に向けて、参考にしていただけたらうれしいです。
寄席への行き方 ~ 新宿末広亭
今回、行ったのは、東京・新宿三丁目の「新宿末広亭」(東京都新宿区)。
東京で寄席に行こうと思ったら、常設の寄席としては、
- 新宿「新宿末広亭」(東京都新宿区新宿3-6-12)
- 浅草「浅草演芸ホール」(東京都台東区浅草1-43-12)
- 上野「鈴本演芸場」(東京都台東区上野2-7-12)
- 池袋「池袋演芸場」(東京都豊島区西池袋1-23-1)
があるようです。今回は、お目当てがあったので「新宿末広亭」一択でした。
新宿末広亭は、新宿三丁目の一画に、趣のある面構えで建っています。新宿三丁目駅のC3出口を出て左に進むと、小道を一本またいですぐ。伊勢丹 新宿店からも近いです。
チケットの買い方・料金
チケットは、一部の特別興行をのぞき、基本的に前売り券や予約はありません。当日、現地に行って、入口に向かって左手にある小窓の入場券売場でチケットを購入します。
料金は、次の通り(2019年11月現在)。この他に、「友の会」という新宿末広亭のファンクラブ向けの割引料金もあります。
一般 3,000円
新宿末廣亭
シニア(65歳~) 2,700円
学生 2,500円
小学生 2,200円
なお、10名以上の団体なら、団体前売で座席を確保することができます。さらに、団体多人数の場合、特別に演芸番組をつくり貸切り公演を行ってもらうことも可能。こちらは、会社でのレクリエーションや、学校の芸能鑑賞教室等での利用を想定してのサービスのようです。特別に番組を作ってもらって貸し切りできるなんて、夢のように素敵なことですね。
入場の仕方
チケットを購入したら、入場します。入口で、その日のプログラム(出演者)と寄席ニュースが書かれたプログラムがもらえます。
入場時間内で、席が空いていれば、開演後でも入場できます。
- 入場時間: 11:40 ~ 19:45
入場後、席を立って場内のお手洗いに行くなどは自由にできますが、一度、寄席から出ると再入場はできません。
寄席のプログラム(番組)
10日毎に出演者が入れ替わる(上席、中席、下席)
新宿末広亭では、10日毎に出演者が変わります。ひと月を、上中下と分けて、3パターンの演目が組まれるのです。各期間は、それぞれ上席(かみせき)、中席(なかせき)、下席(しもせき)と呼ばれます。
- 上席: 1日から10日
- 中席: 11日から20日
- 下席: 21日から30日
31日がある月と12月29日は、「余一会(よいちかい)」といって、通常公演とは違う特別企画の興行があります。余った一日ってこれまた味のある命名ではありませんか。
12月30日、31日は、一年を通して唯一のお休みです。
「昼の部」と「夜の部」の二部構成
上席、中席、下席とも、「昼の部」と「夜の部」の二部構成になっています。昼夜それぞれ出演者が変わります。
- 昼の部: 開演 12:00 ~ 終演 16:30
- 夜の部: 開演 17:00 ~ 終演 21:00
「昼の部」と「夜の部」で、入れ替えはありません。これってすごい。居ようと思ったら、一日中、演目を楽しむことができるのです。
出演者は、各持ち時間15分。次々と高座(ステージ)に登場し、芸を披露します。何の演目を披露するかは、前の出演者の流れや、その日のお客さんの様子で決めるのだそう。まさにライブ! ですね。
なお、1月上席は、「正月初席」として、特別な期間。料金も少し値上がりし、三部構成で、一部と二部は入れ替え制になるようです。詳しくは、新宿末広亭の公式サイトでご覧ください。
食料を持参しよう。
お昼時・夕食時をまたいでの長時間の滞在になるので、食べ物・飲み物を持参するのがオススメです。中には売店があり、助六寿司やお菓子、飲み物などを買うことができます。
今回は、せっかくの初寄席。奮発して、すぐそばの伊勢丹 デパ地下で、お弁当を物色しました。お惣菜フロアをグルグル、ぐるぐる。文字通り指をくわえて(?)あれこれ見て回り、迷いに迷って…「賛否両論」のお惣菜セットを購入。中入り(休憩時間)にいただきました。(たいへん美味しゅうございました!)
演目中に食べることを禁止されているわけではありませんが、次から次へと繰り出される芸の数々に、笑ったり感心したりと楽しむのに忙しく、のんびり食べている余裕はありませんでした。
出演者に、お目当てがいると楽しい。
今回、私のお目当ては、今をときめく講談師 神田松之丞。
神田松之丞の講談を聞いてみたくて、独演会のチケット入手を試みるも抽選で敗退。「だったら寄席でも行ってみるかー」なんて、ふと開いた新宿末広亭の公式サイト 2019年11月下席の番組に、「神田松之丞」の文字を発見!
当日券しかないのに、こんな有名な芸人さんも出演するのか! と驚きながら、出演者をさらに確認していくと、なんとこの日のトリは、人間国宝であり、神田松之丞の師匠でもある神田 松鯉! 人間国宝の芸まで当日券で観られるんだ…寄席ってすごい!
これは…、行くしかない。どんだけ並んだりするのか分からないけど、行くしかない! ということで意を決して寄席デビューに至ったわけであります。
初寄席の緊張ハイライト → 混雑具合
今回、行ったのは11月下席。平日の夜の部でした。
はじめての寄席にあたり、一番心配し、かつ、分からなかったのは、「どんだけ並ぶのかしらん?」ということ。
夜の部は、17時開演ですが、昼夜入れ替えはナシ。出演者に、人気の神田松之丞、人間国宝の神田松鯉を迎え、一体どれくらいの人出があるものなのだろうか。
さっぱりわからなかったので、夜の部開演の1時間前、16時に行ってみることにしました。
結果、特に行列はなく一安心だったのですが、入場券売場には、椅子席が満席の旨を伝える表示が…。えー! ということで、仰天しアワアワしていると、窓口の方が親切に教えてくれました。
「座敷席なら空いてるし、昼夜入れ替えで人が出たら自由に移動していいんで、座れるかもしれませんよ」と。
新宿末広亭は、二階席まであり、一階には、高座に向かって中央に椅子席、左右に座敷席があります。席数は次の通り(合計313席)。
- 一階: 椅子席 117席、座敷席 76席
- 二階: 座敷席 120席
この日は、まず一階右側の座敷席に入り、無事に席をゲット。途中、椅子席に移動できるチャンスはなく、最後まで同じ場所で見ることになりました。
寄席は、芸のリレーが楽しい。
待望の神田松之丞は、どうだったかというと、とても面白かった! 笑いも交えつつ、講談といえばで期待していたアクションあり、登場人物の語りあり。
公式Twitterで、11月下席のネタ帳を開陳してくれています。
思わぬ掘り出し物だったのが、浪曲がすごく面白かったこと。この日は、玉川太福が「石松三十石船」(たぶん。)を演っていました。「江戸っ子だってね。鮨くいねえ。」ってやつ。「こちとら神田の生まれでぃっ」というのが妙に可笑しくって大笑い。芸ってすごいですねぇ。
それから、落語では「時そば」を演ってくれました。「今なんどきだい?」ってやつ。お蕎麦を食べる様子が美味しそうなやつです。この日は、神田松之丞を目当てに、私のような初心者が大勢まろびでてきていると見て取り、初心者向けの演目を多めにやってくれたのかもしれません。
寄席は、15分の持ち時間で、次々と出演者が芸を披露していきます。そこには、流れがあり、一人の出演者だけではなくて、その席すべての出演者が一体となって作り上げるショーとしての面白みがありました。
とある落語家が、神田松之丞の人気ぶりに毒づいたり、お互いや客をいじったりなんてこともあったりしながら、出演者と客席が一体となって場を作っている。寄席の醍醐味を存分に満喫した4時間でした。
神田松之丞 改め 六代目神田伯山
神田松之丞は、2020年2月に真打に昇進し、松之丞改め六代目神田伯山の大名跡を継ぐことが決定しています。真打昇進は、先輩9人抜きだとか。 新宿末広亭の2020年2月中席を皮切りに、真打昇進襲名披露興行が始まるようです。
写真は、左から、落語芸術協会 会長 春風亭 昇太、神田松之丞、神田松鯉。
私が神田松之丞に目覚めたのは、2019年1月から3月にかけて東京・六本木で開催された「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」でのこと。音声ガイドを、神田松之丞が担当していて、スペシャルトラックとして「講談 四谷怪談ダイジェスト」が聞けたのです。とても味わいがあり、怪談にワクワクというのもおかしいですが、ワクワクしながら会場で何度も聞いたのを覚えています。
音声ガイド(別途、550円)は、講談師・神田松之丞さんの語りが最高! スペシャルトラックとして神田さんによる「講談 四谷怪談ダイジェスト」も楽しめます。ぜひ、音声ガイドとともに北斎の偉業を味わってほしい。
島根県の葛飾北斎展、永田コレクション全貌公開へ! 東京では最後の展示 | japonism
大名跡・神田白山を襲名するまでの顛末を、ラジオ『神田松之丞問わず語りの松之丞』 (TBSラジオ)で、さすがの話芸で面白おかしく語り散らしておられますので、ぜひ。
【聞き逃した方へ】来年の真打昇進で、神田松之丞は神田伯山(かんだはくざん)を襲名します。講談師・神田松之丞(かんだまつのじょう)のラジオ『神田松之丞問わず語りの松之丞』(2019年5月3日放送分) https://www.tbsradio.jp/366812
さらに、オフィシャルブログでは、新宿末広亭の北村幾夫会長に新宿末広亭の歴史や芸の道、往年の大名人について自らインタビュー。あわせてぜひぜひ。
新宿末廣亭・北村幾夫会長に、訊いてみた。前編 – Blog – 神田松之丞 オフィシャルサイト – 講談師 / かんだ まつのじょう
https://www.matsunojo.com/blog/2016/06/post-2.html
はじめての寄席Q&A ~ 新宿末広亭
最後に、はじめて寄席に行くにあたり、モヤモヤしていた素朴な疑問をQ&A形式でまとめました。
Q. そもそも「寄席」って何?
A. 「演芸が専門に行なわれている劇場。演芸場。」です。(落語辞典用語集 – 落語はじめの一歩|落語芸術協会 より)
Q. 指定席なの?
A. 全自由席です。
Q. 予約できるの?
A. 一部の特別興行をのぞき、前売り券や予約はありません。10名以上の団体前売りはあります。
Q. 飲食はできるの?
A. できます。ただし、アルコール類(飲酒)はNGです。
Q. 休憩はあるの?
A. あります。「中入り」といって途中休憩が入ります。
Q. 4時間って辛くない?
A. あっという間の楽しい4時間でした。
Q. 入場にあたり当日券しかないということなんだけど、行列したりするのかな?
A. 私が行ったときは、平日の夜の部 開演1時間前。行列はありませんでした。
深い寄席の沼にハマってしまいそうな予感が、ムンムンしております。まだの方は、お急ぎください!
<概要>
新宿末広亭
住所:東京都新宿区新宿3-6-12
URL: http://www.suehirotei.com/
<参考>
新宿末廣亭
落語芸術協会
一般社団法人 落語協会
浅草観光なら寄席(落語)に行こう – 浅草演芸ホール
鈴本演芸場
池袋演芸場
注目の講談師・神田松之丞、先輩9人抜きで真打ち昇進へ:朝日新聞デジタル
神田松之丞が伯山襲名会見「講談界の状況変える」 – 産経ニュース
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