箱根の山々に囲まれた、渓流沿いの温泉旅館「雉子亭 豊栄荘」~プロのオススメ宿

泊まってみたい! 心からそう思った、日本ならではのお宿をご紹介する「#プロのオススメ宿」シリーズ第二弾!

お宿を教えてもらうのは、15年前から外国人観光客向けの日本全国の宿・ホテルのプロモーションを成功させてきた“宿の目利き人”小野 秀一郎(おの しゅういちろう)さんです。小野さんのインスタグラム(@ryokanese_japan)も素敵な日本のお宿の写真が満載なので、ぜひ覗いてみて!

今回ご紹介するお宿は、箱根湯本の温泉旅館「雉子亭 豊栄荘」。癒しの邪魔をしない接客でゲストをもてなす、“里帰りしたように心安らぐ山の宿”がコンセプトの全18室と離れ1棟の小さなお宿です。

小野さんのおすすめポイント

・渓流沿いの露天風呂
・美味しいお料理(雉鍋も楽しめます)
・フレンドリーで親切な接客

雉大鍋会席

須雲川の渓流沿いの露天風呂や、名物の雉子鍋も魅力のお宿について、ご主人・原 健一郎さんと、支配人・矢郷 尚人さんにお話を伺いました。

バラエティに富んだ全18室

――公式サイトで拝見したところ、様々な間取りのお部屋があるんですね。すべてそれぞれ間取りが違うのですか? しかも、二間あったりと、とてもゆったりとしているようです。

矢郷さん:はい。10畳+6畳、12.5畳+8畳など、個性的なお部屋が揃っております。少々細部が異なりますが、同じ間取りで二間あるお部屋もございます。もちろん、一間のお部屋も9部屋ございます。

全室、川側を向いておりますので、当荘自慢の眺めをお楽しみください。

一部、階段を使うお部屋がございますので、御足のご不自由な方は、ご予約の際にお知らせくださいませ。

――とても広いので、大人数でないと泊まれないかと心配しちゃいました(笑) ひとり旅のゲストもいらっしゃいますか?

矢郷さん:はい。おひとりのお客様もいらっしゃいます。男女・年齢問わず、色々な方がいらっしゃいます。

奥飛騨から移築した古民家「離れ雉子亭」

――離れもあるということなのですが、「離れ雉子亭」について教えてください。

原さん:「離れ雉子亭」は、飛騨の約四百年前の合掌造りの古民家を移築した建物で、移築して50年になります。高い天井と太い梁、明るい窓の静かな空間は、古民家ならではの広さです。

私の祖父にあたる当宿の創業者が、たいへんなアイデアマンで、現地の文化に惚れ込んで移築させたものです。東京の奥座敷・箱根の山の中で、本物の建物で、時代を超えて昔の豪族気分でお寛ぎいただきたいと。

移築当初は、日本旅館で初めて雉子料理をお出しする料亭として使われておりました。「雉子亭」という名前は、作家の武者小路実篤先生に命名していただいたものです。

ホームページに掲載しているモノクロ写真は、移築当初のもので、当時は茅葺き屋根だったのですが、火事で焼失し現在の姿になりました。

現在は、4名様以上でご宿泊いただく離れとして、ご好評いただいております。

多彩なゲストが“何もしない贅沢”で自分を取り戻す宿

――ゲストは、宿でどのように過ごされていますか?

矢郷さん:主には、お部屋でのんびりされている方が多いですが、庭園の川沿いの縁台でのんびり川を眺めてらっしゃったり、渡り廊下の椅子に座って庭園を眺めていらっしゃる方も。

ロビーからの眺望。建物は「離れ雉子亭」

禅語に「山中無暦日」という言葉があります。「山に入りては時忘れ、流れる雲を眺めながらそっと自分を取り戻す」そんな思いを込めて、忙しい毎日から離れて、普段の喧騒とは別の世界が広がる当荘で、ぜひ“何もしない贅沢”をお楽しみください。

――ミキハウスの『ウェルカムベビーのお宿※』に、箱根で初めて認定されたということですが、乳幼児連れでも快適に泊まれる宿ということでしょうか。どういった工夫がありますか?

矢郷さん:隣室と壁づたいにならなくて、なおかつ下階も気にならないお部屋をご用意しております。ベビー用品も、必要なものを揃えております。

  • お子様温度計
  • 全身ベビーソープ
  • ベビーバス
  • おむつポット
  • 赤ちゃん用補助便座
  • ベビーチェアー
  • 他に、コンセントカバー・お子様用歯ブラシ など

そして、温泉大浴場も小さなお子さまでもお入りいただけるようにしております。

――なるほど。まわりのゲストに、子どもの声や音を気にせず泊まれるのは、とてもありがたいですね。育児疲れもゆっくり癒せそうです。外国人ゲストは、多いですか? どちらの国からのゲストが多めかなど傾向がありましたら、よろしければお教えください。

矢郷さん:国別は時期により違いますが、全世界からおいでいただいております。春節と年始は、中国からのお客様が多いですが、その他の時期では西欧のお客様が多く、最近はイタリアのお客様を多くお見かけしました。

米国、カナダ、オーストラリア、そして北欧からのお客様も、多くお越しくださいます。

――日本ならではの魅力が凝縮したようなお宿ですから、やはり外国のゲストにも人気なのですね。外国人ゲストが喜ばれるのは、どういった点ですか?

矢郷さん:最初は、オンラインのブッキングサービスのクチコミだったと思うのですが、「日本の風景を体験できる宿として良いよ」というお声をいただいてからだと思います。

渓流沿いの露天風呂を貸切できるのが人気ですね。「必ず入りたい」とおっしゃる方が多いです。

外国人ゲストにも人気の渓流沿い露天風呂と大浴場

――渓流を眺めながらのお風呂なんて、極楽以外の何物でもありませんよね! 露天風呂はもちろん、大浴場もとても魅力的です。浴場は、それぞれ何人くらい入れる大きさですか?

矢郷さん:露天風呂は、5名から6名、大浴場は男性30名前後、女性20名~25名前後です。

大浴場

当荘の露天風呂は「掛け流し」で、余った温泉はそのまま須雲川に放流しています。そのため、環境保護の観点からシャワー、石鹸類はご用意しておりません。露天風呂は、温泉に入りながら、自然の景色をゆっくりご覧いただく場所として、お楽しみいただいております。

箱根の山々に囲まれた、渓流沿いの温泉旅館「雉子亭 豊栄荘」

温泉は自家源泉ですが、より快適にお楽しみいただくために加温をしております。加温には、自然を大切にしたいとの思いから、木製チップボイラーを使っております。

サステナブルな宿を目指して

――私たち『japonism』のテーマとして、「持続可能(サステナブル)な『いいね!』」をご紹介したいという思いがありまして、お考えにとても共感いたします。木製チップボイラー導入の背景や、思いをお聞かせください。

原さん:究極の目的は、地球の持続可能性に少しでも貢献したいということです。もともとは、重油を燃やして加温していました。しかし、当荘から望む箱根の山々を見て、この山の貴重な資源を“活かしたい”と思ったんです。この考えが、木製チップボイラー導入の原点になりました。

実現のためには、私が所属している中小企業家同友会の地球環境部門のネットワークに助けてもらいました。

箱根の魅力、点を結んで線に

――大きな視点で、箱根の自然を“活かす”ことを考えていらっしゃるのですね。

原さん:箱根にもともとある貴重な資源を“活かしたい”という思いが強くあります。木材ももちろんですが、“観光資源”としても、もっと触れていただきたい日本ならではの魅力的な文化や自然がたくさんあります。

寄木細工や情緒ある旧街道の茶屋、明治の廃仏毀釈でいまのかたちとなった箱根神社など。点在している様々な魅力を、線でつなげたい。長く滞在して、じっくりと味わっていただける、新しい箱根の魅力をお伝えしていければと考えています。

――箱根の魅力を再発見し、大切に育み、未来に向けてアップデートしていこうという思い、とても素敵です。貴重なお話を、ありがとうございました!

「雉子亭 豊栄荘」さんの公式サイトには、宿の庭園の花だよりなどを不定期更新している「豊栄荘の宿日記」が。読めばほっこり癒されて、楽しい日記です。ぜひ、覗いてみては。

宿をオススメしてくれたのは…

小野 秀一郎(おの・しゅういちろう) さん
株式会社インバウンドにっぽん代表。大阪府生まれ。都市銀行を2年弱で退職、オーストラリアでのインターン、アメリカとイギリス留学を経験後、ネット予約サイト「クラブトクー」のインバウンド事業部執行役員等を経て、株式会社インバウンドにっぽんの前身となる「実践!インバウンド」を立ち上げ。2010年より現職。観光庁の広域周遊促進の観光地域支援専門家や、東京都の観光まちづくりアドバイザーなども務める。
https://www.jissen-inb.com/

<施設概要>
箱根湯本温泉旅館 雉「きじ」と自家源泉の宿 雉子亭 豊栄荘
住所:神奈川県足柄下郡箱根町湯本茶屋227
電話:0460(85)5763
宿泊費:1泊2食付23,000円(税込24,990円 / 1室2名利用時)~
公式サイト:http://www.hoeiso.jp/index.html

※ミキハウス子育て総研株式会社が、2008年3月1日にスタートした、当社の認定基準を充たす各地の宿泊施設や日帰り施設を『ウェルカムベビーのお宿』『ウェルカムベビーの施設』として認定する事業。

<参考>
箱根湯本温泉 雉子亭 豊栄荘 公式サイト
ウェルカムベビーのお宿認定プロジェクトとは?|ウエルカムベビーのお宿




japonism 編集人
大手ISP、東京・銀座の着物小売り店など勤務の後、独立。美容誌Webサイトディレクターをはじめ、CGM、企業オウンドメディア等、各種Webメディアの企画・編集に従事。着物好きが高じて着物の着付師修行も、手先不器用のため断念。それでも、大好きな日本の文化・いいモノ・コト・ヒトを伝えたいと、日本のいいね!が見つかるメディア『japonism』を、2018年6月たちあげ。日本のアップデートに、微力ながら貢献できればうれしい。

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